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🔖 七生養護学校「性教育攻撃事件」とは?

更新日:2023年11月27日


突然始まった「性教育」攻撃


2003年7月2日、東京都議会で「最近の性教育は、世間の常識とはかけ離れている」 としながら、「ある養護学校では」と七生養護学校の自主教材「からだうた」を取り上げま した。石原都知事は「事例どれを見ても、あきれ果てる…異常な何か信念を持って、異常な指導をする先生というのは、大きな勘違いをしている」と答弁、これが「七生の性教育攻撃」の始まりでした。


2日後、3人の都議と同調する区議や市議が産経新聞を伴って、都教委の指導主事らを同行させ「視察」と称して学校に来たのです。性教育教材や授業資料が置かれていた保健室に入り、仕事をしていた養護教諭に教材を出すよう指示。都議たちは、七生の性教育を全否定 しながら「あんた、どこの大学出てるの?」「馬鹿なんじゃない!」と養護教諭に罵声・恫 喝を浴びせ続け、更には、教材である人形の下半身を露出させ床に並べ、写真撮影をしたの です。都教委、校長らは都議の言動をただ見ているだけでした。この時、保健室を訪れたある高等部生徒が、授業ではありえない異様な光景に驚き「先生がいじめられてる」と助けを求め教室に戻ったのです。なんと!これらのことが、子どものいる時間に起こったのです。


この保健室での3〜40分ほどの出来事を、多くの教員たちが知ったのは放課後になってからです。都議たちからの暴言を浴び、恐怖のために泣きながら報告をしてくれた養護教諭の2人。ようやくここに至り、大変なことが起こっていると教員たちは理解したのです。


翌日、7月5日の産経新聞朝刊には「過激性教育 都議ら視察」と大きく載り、「まるでアダルトショップのよう」といった都議の言葉も紹介されていました。


以降、不適切性教育と決めつけたうえでの一方的な全教員への聞き取り調査、「学校経営アドバイザー要綱」が突然決まり、第一号として七生養護学校に着任し校長室を居場所としながら、職員会議や校内の見回り、数名の指導主事が連日来校、不当処分の強行や通達など怒涛の日々でした。その間、教員たちはなぜこの教育実践が必要であったのか、どんな思いで子どもたちと向き合ったのか、説明する機会を一度も与えてはもらえませんでした。授業を見てもらう機会も、子どもや親たちの声を聞いてもらう場もないばかりか、都教委の結論に質問することさえ許されなかったのです。常に動きや発言を見張られ脅しの続く日々に教員たちは疲弊し押しつぶされそうになりながらも、分断されないために放課後には集まり、情報を共有し、お互いを勇気づけ合っていました。そして、学校の中だけでは闘いきれないと、保護者や地域の方たちとも連携を取り、学校で起きていることを外部に伝え広めるよう動き始めていったのです。


裁判・闘いを通し見えてきたこと


学校に登場した都教委副参事から「寝た子を起こすな」の言葉が出たのには驚きました。七生の子どもたちは「寝て」なんかいませんでした。むしろ、簡単に手に入る性情報にどう対応したらよいのか困っていました。思春期を迎えれば、障害があっても、からだもこころも変化していきます。変化の時期や仕方に違いはあっても、多くの子どもたちが通る道です。子どもによっては、性に関する興味や好奇心が旺盛になります。その時に無防備に入ってくる刺激的な映像や画像などの情報に、混乱が増すのです。副参事の言葉は、子どもの実態からかけ離れた偏見でしかありません。


また、その後の闘いの中で見えてきたことは、政治家による力の支配です。学校教育を自分たちの思想で支配し従属させる、そこには子どもへの思いは全くありません。偏った思想を持った議員と当時の都知事、都教委までもがその手先となって起こしたのが、七生養護学校事件なのです。性教育攻撃という政治介入をした議員グループのトップにいたのが安倍元首相であったことは、2005年に発足した「過激な性教育、ジェンダーフリー 教育実態調査プロジェクトチーム」の座長となっていたことからも明らかです。自民党本部で立ち上げのシンポジウムが開かれ、壇上には七生を攻撃した都議、七生に赴任した学校経営アドバイザーも参加し発言をしています。会場内では、過激性教育教材として七生の教材を中心に展示されていました。彼らは、日本の新自由主義化と軍事国家化を推し進める上で、ジェンダー視点での思想や運動を封じ込める必要があり、性教育は重要な標的であったのです。結果、民主的学校運営と性教育の両方が壊され、奪われたのです。



⚪︎⚪︎⚪︎裁判については「🔖 七生「「性教育」バッシングに抗して」⚪︎⚪︎⚪︎

包括的性教育推進法制定をめざすネットワーク

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